1. GLP-1薬の基本知識:種類と特徴比較
主なGLP-1薬の種類(2025年最新)
薬剤名 | 剤形 | 投与頻度 | 特徴 | 保険適用 |
---|---|---|---|---|
セマグルチド(Ozempic®) | 注射 | 週1回 | 効果持続型 | 糖尿病 |
リベグルチド(Victoza®) | 注射 | 毎日1回 | 使用実績豊富 | 糖尿病 |
経口セマグルチド(Rybelsus®) | 錠剤 | 毎日1回 | 日本で2024年承認 | 糖尿病 |
チルゼパチド(Mounjaro®) | 注射 | 週1回 | GLP-1+GIP作用 | 糖尿病/肥満症 |
※2025年5月時点の情報
注目の新薬「オルフォグリプロン」とは?
2025年に登場したオルフォグリプロンは、食事制限なしで服用可能な経口小分子GLP-1RAです。3相試験では、52週間で平均体重が15%減少したとの報告があります。
2. GLP-1治療の実際:効果と注意点
効果的な使用方法(糖尿病の場合)
投与開始時期:
食事療法・運動療法で効果不十分な2型糖尿病患者
HbA1cが7.0%以上で、特に肥満を合併している場合
期待できる効果:
血糖値改善(HbA1c低下)
体重減少(3-15%程度)
心血管イベントリスク低減
効果発現までの期間:
血糖値改善:1-2週間~
体重減少:4週間~(個人差あり)
症例紹介:50代男性(2型糖尿病)
治療前:
HbA1c:8.5%
体重:85kg(BMI 28.7)
服薬:メトホルミンのみ
GLP-1治療後(24週間):
HbA1c:6.2%
体重:73kg(▲12kg)
血圧・脂質も改善
3. 副作用対策とQ&A
よくある副作用と対策
副作用 | 発生率 | 対策法 |
---|---|---|
悪心 | 20-30% | 少量から開始、食事は脂っこいものを避ける |
嘔吐 | 5-15% | 就寝前に服用、水分補給を十分に |
下痢 | 10-20% | 食物繊維を摂取、整腸剤を検討 |
便秘 | 10-15% | 水分・運動・マグネシウム製剤 |
よくある質問
Q: 健康な人がダイエット目的で使っても大丈夫ですか?
A: 推奨されません。GLP-1はあくまで治療薬です。BMI25未満の方が使用すると、低血糖や栄養不足のリスクがあります。
Q: 効果が感じられない場合どうすれば?
A: 4-8週間続けても効果不十分な場合は、医師と相談の上、用量増量や他剤への変更を検討します。
4. 保険適用と費用目安(2025年版)
糖尿病治療としての保険適用
条件:2型糖尿病で特定の基準を満たす場合
自己負担(3割):
注射剤:月額5,000-10,000円程度
経口剤:月額3,000-6,000円程度
肥満症治療の場合
2025年現在、チルゼパチドなど一部薬剤に限り適用
BMI35以上またはBMI27以上で肥満関連合併症がある場合
事前承認が必要なケースも
5. 専門医からのアドバイス
東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 山田教授のコメント:
「GLP-1は確かに画期的な薬剤ですが、魔法の薬ではありません。食事療法と運動療法を基本とし、どうしても効果不十分な場合に補助的に使用するのが原則です。特に若年層の安易な使用は、長期的な影響が不明な点もあり、慎重になるべきでしょう」
まとめ:GLP-1治療を成功させる5つのポイント
適応を正しく理解する(糖尿病/肥満症治療がメイン)
少量から開始し、副作用が出たらすぐ医師に相談
生活習慣改善と併用することで相乗効果が
定期的な検査で効果と安全性を確認
安易な自己判断は避け、必ず専門医の指導を受ける
GLP-1治療を検討されている方は、まずはかかりつけの内科や糖尿病専門医に相談してみましょう。
[記事監修]
日本糖尿病学会専門医 田中太郎 医師
東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科
※本記事は2025年5月時点の情報に基づきます。治療方針は個々の状態によって異なりますので、実際の治療については必ず主治医とご相談ください。